勇ましい

世間では
愛を謡うより
憎しみであふれかえっている
ニュースを見るとよくわかる
だから
あんたが私を嫌う理由もそこら辺にあるのだろう

主義主張や
性格の違いで
相手を打ち倒すような奴は
勇猛なのだろうか

憎しみの感情で
手あたり次第駆逐した奴は
勇敢なのだろうか

相手を打ち倒した事だけが誇れることという
そんな野獣のような奴に
勇気があるというのか
野獣でも親子の情は持っているだろうに

だから私があんたを嫌う理由もそこら辺にある
憎しみはなくならないのかもしれない
私は臆病者のままでいるほうを選ぶ

野蛮と勇気の間にある壁はどこに行ったのだろう

自省

言われたことをしてるだけだと
自分に言い聞かせる

特に理由もなく
後ろめたさが
付いて来たり
来なかったり
でも
悪い事はしていない

言われたことをしているだけだと
自分に言い聞かせる
それだけ古い本を読んで
学んできたつもりだ

正解のない人生だが
大きな間違いはないと
そう信じる

言われたことをしているだけだが
そうやって学んできた
何が悪い

あめあがり

昨日の夜半から
土砂降りになって
朝起きると雨はやんでいて
それでも空は曇っていて

六月の休日の
過ごし方として
午前はゆっくりしてよう
そう思って
のんびりする

昼を過ぎても
雲の切れ間はないが
ちょうどいい気温だったので
散策に出かける
今日もまあ
それなりにいい日なんだろう
良いことがあればいいな

ある公園

揚羽蝶が
日当たりのよい
コンクリートで
一休み

緑も花も
十分にある
僕は
木陰のベンチで
それを眺める

修行僧みたいな
ストイックさは感じないが
美しさは
確かに感じる

星を数える

また
夜中に目覚めてしまう
特に
体調も悪くないし
悩みもそれほど

時計の音を聴きながら
星の数を数えている

そのうちに寝てしまうんだけど

昨日より
数えた数が少なくなるこをと
目標に

時計の病身を聴きながら
星の数を数えている

日曜の夜

生憎
土曜の夜から降り続いた雨が
結局一日やまなくて
雨音を聞きながら
明日の朝に備えている

雨の日曜は静かで
特にやることもなくて
薄暗くて仕方ない

雨の音だけ聞こえてきて
日常と隔絶された気になる

それでも
現実と自分をつないでるのは
ラジオから聞こえる
小気味よいトークで
とりとめのない話題が
世界と
自分を
つないでいるんだな

そう思いながら
うとうとしてると
夢の中でも
ラジオの声がした

睡眠

張りつめて
割れそうで
目がさえる
眠らなきゃいけない
明日は色々あって

時計の秒針と
外の息遣い
こんなにうるさかったのか
煩わしい

浮ついた気持ちを
どこか遠くに追いやって
明日の気分を抱きしめて
一息つこうか
眠らなきゃいけない
明日は色々あって
眠らなきゃ

乱れる

しくじった
その虚脱感で
水面に浮かんでるように
はっきりしない

自責の念と
痛みに耐えるために
いじけるな
くさるな
期待するな
夜の砂漠みたいな
心でいたら
大丈夫だって

でもそれは
生きていることと
相当に
食い違うような気がして

どうしようか
途方に暮れる

長ったらしい憂鬱で
しらけ切った心臓を胸に
泥だらけの足跡と
汚れ切ったスニーカー
慣れない手つきで
花壇に
苗を植えた

土砂降りだけど
きちんと肥料も入れて
丁寧に仕上げた花壇
常緑の低木に育つという
そして春には花が咲くという

それを眺めて暮らす嫁を見ながら
気が付いたときには
憂鬱は何処かに
逃げ出してしまっていたな

雨後

雨上がりの公園で
音楽を聴きながら
ぼーっとしていると
木々や緑葉が
優しく消えて

これも
幸福のカタチかも
そんなことを考えながら
ボトルに入れた
冷水を飲み干したら
もう音楽が終わっていた

また音楽を聴きながら
帰路についた
なんだかんだでいい気分だな