AS ONE

刻一刻と
世界が変わり続けて
取り残されることの無いように
少しでも多くの人に
いい変化であるように

そういった希望と裏腹に
痛みや
苦しみ
死活問題
こういったものが
変わらず付きまとうのだ

絶望に焼き尽くされるのも
希望に焼き尽くされるのも
光り輝いて
消えていくのだから
誰かの道を照らすことになるかもしれない
それが誰かの道しるべになればいいと
新しい希望が生まれることもある

生きることは一人で暗闇を歩くようなもの
でもこうやってほのかな明かりが
道を照らしてくれるのだろう

人生の風が
いつ吹いてくるか
誰にもわからない

変化を求めて
帆を張って
出航しようと待っていたのが
青春だったが
一向に風が吹かなかった
そうはいっても
どこにでもよくある話

年を経て
安定を求めるようになって
錨を下ろし
帆を畳んでいたら
ついに
風が吹き始めた

戸惑いながらも
帆を張り
錨をあげて
出航の準備をしている
まあ
どこにでもよくある話

△S

サーキュレーターで
部屋の空気が混ざる

エントロピーが
増大することで
随分快適

昔泊まった
タイの安宿は
クーラーもなく
地獄のような蒸し暑さ
天井の送風機が
くるくる回り
その地獄を緩和する

多分
地獄のエントロピーは
縮小し続けていて
天国のエントロピーは
増大し続けていて

この世のエントロピーは
運命通り
少しずつ増大しているので
天国に向かって
延々歩き続けているのだろう
追いつけるかどうかは
分からないが

揺らぎ

朝から雨降り
出かけられる気配はない

茶香炉に
蠟燭を入れ
なんとはなしに
炎の揺らぎを見る

規則正しい
雨音と関係なく
ゆらゆら
気まぐれに揺れる
そこに自由を見た

そうこうしていると
茶葉の香りが
漂い始めた

読書日和

雨降り
木枯らし
雪の落ちる音

休みの夜は
人通りも少ない

風雪の音
雨の音が
僕と世界を
隔てているような
そんな感じがする

そんな孤独感は
悪意も敵意もない
居心地が良くて

今日は
ラジオも
テレビも
オフにして
良い読書日和

三日月

風呂上がりに
涼みに出て
三日月を眺める

なんとなく
今日の嫌なことは
どうでもよくなるのだが
不安は
そこはかとなく残る

いつから
心配性になったのか
それはわからないが
足元で
犬が散歩をせがんでいるので

街が中途半端に明るいせいで
殆ど星は見えないが
薄曇りでも
月は良く見える

無心に歩けば
そこはかとない不安も
とりあえずは
犬が消してくれる

朝というには遅いし
昼というには早いし
そんなこんなで
長い事歩いて
公園で一休み

夏の日差しから隠れて
鳥の声を聴いている

鶯が
美しい声で鳴いている
暑くなる前は
もっと
遠慮がちに
へたくそに
鳴いていたのだが
随分うまくなった
堂々と鳴いている

冬の寂しい広葉樹では
メジロの独壇場だったが
今は
鶯の独壇場

こうやって
季節が巡るんだな

勇ましい

世間では
愛を謡うより
憎しみであふれかえっている
ニュースを見るとよくわかる
だから
あんたが私を嫌う理由もそこら辺にあるのだろう

主義主張や
性格の違いで
相手を打ち倒すような奴は
勇猛なのだろうか

憎しみの感情で
手あたり次第駆逐した奴は
勇敢なのだろうか

相手を打ち倒した事だけが誇れることという
そんな野獣のような奴に
勇気があるというのか
野獣でも親子の情は持っているだろうに

だから私があんたを嫌う理由もそこら辺にある
憎しみはなくならないのかもしれない
私は臆病者のままでいるほうを選ぶ

野蛮と勇気の間にある壁はどこに行ったのだろう

自省

言われたことをしてるだけだと
自分に言い聞かせる

特に理由もなく
後ろめたさが
付いて来たり
来なかったり
でも
悪い事はしていない

言われたことをしているだけだと
自分に言い聞かせる
それだけ古い本を読んで
学んできたつもりだ

正解のない人生だが
大きな間違いはないと
そう信じる

言われたことをしているだけだが
そうやって学んできた
何が悪い

あめあがり

昨日の夜半から
土砂降りになって
朝起きると雨はやんでいて
それでも空は曇っていて

六月の休日の
過ごし方として
午前はゆっくりしてよう
そう思って
のんびりする

昼を過ぎても
雲の切れ間はないが
ちょうどいい気温だったので
散策に出かける
今日もまあ
それなりにいい日なんだろう
良いことがあればいいな