ある公園

揚羽蝶が
日当たりのよい
コンクリートで
一休み

緑も花も
十分にある
僕は
木陰のベンチで
それを眺める

修行僧みたいな
ストイックさは感じないが
美しさは
確かに感じる

星を数える

また
夜中に目覚めてしまう
特に
体調も悪くないし
悩みもそれほど

時計の音を聴きながら
星の数を数えている

そのうちに寝てしまうんだけど

昨日より
数えた数が少なくなるこをと
目標に

時計の病身を聴きながら
星の数を数えている

日曜の夜

生憎
土曜の夜から降り続いた雨が
結局一日やまなくて
雨音を聞きながら
明日の朝に備えている

雨の日曜は静かで
特にやることもなくて
薄暗くて仕方ない

雨の音だけ聞こえてきて
日常と隔絶された気になる

それでも
現実と自分をつないでるのは
ラジオから聞こえる
小気味よいトークで
とりとめのない話題が
世界と
自分を
つないでいるんだな

そう思いながら
うとうとしてると
夢の中でも
ラジオの声がした

睡眠

張りつめて
割れそうで
目がさえる
眠らなきゃいけない
明日は色々あって

時計の秒針と
外の息遣い
こんなにうるさかったのか
煩わしい

浮ついた気持ちを
どこか遠くに追いやって
明日の気分を抱きしめて
一息つこうか
眠らなきゃいけない
明日は色々あって
眠らなきゃ

乱れる

しくじった
その虚脱感で
水面に浮かんでるように
はっきりしない

自責の念と
痛みに耐えるために
いじけるな
くさるな
期待するな
夜の砂漠みたいな
心でいたら
大丈夫だって

でもそれは
生きていることと
相当に
食い違うような気がして

どうしようか
途方に暮れる

長ったらしい憂鬱で
しらけ切った心臓を胸に
泥だらけの足跡と
汚れ切ったスニーカー
慣れない手つきで
花壇に
苗を植えた

土砂降りだけど
きちんと肥料も入れて
丁寧に仕上げた花壇
常緑の低木に育つという
そして春には花が咲くという

それを眺めて暮らす嫁を見ながら
気が付いたときには
憂鬱は何処かに
逃げ出してしまっていたな

雨後

雨上がりの公園で
音楽を聴きながら
ぼーっとしていると
木々や緑葉が
優しく消えて

これも
幸福のカタチかも
そんなことを考えながら
ボトルに入れた
冷水を飲み干したら
もう音楽が終わっていた

また音楽を聴きながら
帰路についた
なんだかんだでいい気分だな

空が

誰かに言われた
明日空が落ちてくるかもしれない
そんな
漠然としたアリもしない不安が無い事もない

僕はそれでも
夜明けの鐘が
鳴るのを待っている

明日が来ないかもしれない不安と
「前途への道標」を
抱えている高揚を
天秤にかけながら

明日空が落ちてくるかもしれないけれど
希望は少しだけ残っているので
ただ待っている時を
楽しんでいる

朝起きたら

二十代の頃に味わった
初めての挫折と喪失の
傷跡を思い出していると
また
雨が降り出した

余りのショックに
泣くこともできなかったが
最近ようやく
雨が降るようになった

長い夜が明けたら
また起こしてくれ

朝起きたら
明日のことを
思うことも
出来るかもしれない


もしかしたら
雨も止んでるかもしれない

全ては
希望的観測に過ぎないけれど
希望とか
楽観視とか
縁遠いものだったはずが
今は
手元にあるよ

真実

混乱していると嘘が付けなくなって
馬脚を現してしまう
夜の中に逃げ込んで
泥酔して忘れようとしても
延々真実が追いかけてくる

追いつ追われつ嘘をつきながら
真実に追いかけられながら
それでも
人生の真実というものを
探し続けている

世界中探しても
見つからないのは分かっているし
何処に行っても見つからないのも知っている
人生の真実なんていうものは
必死に探して回っている自分そのものだ