武装島田倉庫を読んで

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新装版 武装島田倉庫 [ 椎名 誠 ]
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シーナワールドと言われる独特の世界観を持つSF小説作品群のうちの一つです

世界を荒廃させた大戦争が起こって二十年弱立っていますがネットワークやインフラ類が壊滅的打撃を受けている

化学汚染で異体進化した獰猛生物が野放し、ひどい環境汚染が残っている

進行してきた軍事国家はとりあえず撃退はしたがこちら(日本?)の政府も機能不全、組織だった武力は壊滅。で都市部以外は無法地帯。野盗や軍事政府が送り込んだ破壊工作部隊、軍事国家に対するレジスタンス、こちらの政府の機能不全と統制に反抗するレジスタンスと入り乱れています。

SF作品の新生物とか新技術科は雰囲気出すために英語とか横文字なのが殆どですが、シーナワールドのそれはほとんど全部日本語で命名されているので怪しさ抜群。

表題の短編は、そういう荒廃した世界の中で組織として維持できている企業や都会同士の物流を担うトラックとその集積所の話ですね。治安が酷く悪化したので中小の集積所としても自衛を考えないといけない。ということで火器で武装した「島田倉庫」の話です

あとこの本の中に出て来る元生物兵器人間、(作並衆と呼ばれてる)は他作品に出て来る「つがね」と同じものだと思います。

あと最初のほうの「特別な貨物」がほかの作品のキーになる存在だったり、同じ名前の人物が出てきたり、遺伝子組み換え生物みたいなのが同じ種類のものが出てきたりと色々つながっていますね。

謎の世界観と没入感があって最高ですね。ちょっと難しめの本格SFがしんどい人でも読みやすいと思います。ポストアポカリプスものとして異彩を放っていますね。

映像化してほしい小説のひとつです

椎名さんの小説なら鮫肌海岸は映像化されていたような気がしなくもないですが、こっちの方が(お金はかかるでしょうが)面白いと思います