纏めの最後です
◎信義を守り誠実に生きることが如何に称賛に値するかは何人といえど知っている。しかしながら、信義のことなど眼中になく狡知を知っていた君主が、結局信義に依拠した君主に打ち勝ち、今日偉業をなしている
◎闘争について二つの方法がある。一つは人間に特有の法によるものともう一つは野獣に特有の力によるものである。
野獣の方法のうち、狐と獅子を範とすべき。獅子は罠から身を守れないし狐は狼から身を守れない。罠を見破るには狐である必要があり、狼を驚かすには獅子である必要がある。
◎君主は人々の憎悪と軽蔑を招くことを避けなければならない。これを避けるならば自らの任務を全うし、他の汚名にも関わらず危険に陥ることはない
◎君主は運命の命ずるところに従って自らの行動を変更する心構えが必要である。可能な限り好ましい行動から離反せず、必要な場合は悪事に踏み込むことができる心構えを持つことが必要である。
◎陰謀を企てる側は必ず、恐怖、猜疑心、処罰の心配が満ち、君主の側は、尊厳、法、見方が彼を守ってくれる。その上に民衆の好意が加わるならば、陰謀を企てるのは無謀。
◎君主は非難を招くような事柄は他人に行わせ、恩恵を与えるような行為は自ら行うべき。そういう意味で貴族は重んじなければならないが、民衆に憎悪されてはならない。
◎憎悪は良い行いからも悪い行いからも発生する恐れがあることに注意しなければならない
◎最善の砦は民衆に憎まれないこと
◎ある一方に味方し、もう一方に抗う意志を見せることは中立であるより常に有益である。中立であることを選んだ場合、勝者の餌食になり、敗北者には味方しなかったことを恨まれる。
◎万やむを得ない場合を除いて、自分より強大なものと同盟しないこと。他人の思いのままになることは出来る限り避けるべき
◎一つの不都合を避けようとする場合、応々にして別の一つの不都合に陥るのが物事の定めである。しかし様々な不都合の特質を知りより少ない悪を良いものとして選ぶことを知るのが賢明ということ。
◎人の頭脳の評価
- 自らの力で理解する(非常に有能)
- 他人の意図することを察知する(有能)
- 自らの力で理解せず、他人の意図を察知しない(無能)
◎追従から身を守る唯一の方法は、他人が真実を自分に向かって述べたとしても感情を損なわないと人々に理解させること。しかし誰にでも真実を述べさせると尊厳を損なうので、自らの範囲内で賢人を選び彼らに対してのみ真実を述べさせること
◎君主は頻繁に下問し、しかも忍耐強い聞き手でなければならない。自ら賢明でない君主は良い助言者を得ることができない
◎人間の自由意思は消滅せず、運命が我々の好意の半分を裁定するが、残りの半分は我々に支配するように任せてるというのが正しいのではないか。
◎人間の行動様式が時勢に一致するかどうかが鍵。栄枯盛衰もこれに起因する。
◎運命は変転する。慎重であるより果敢であることが望ましい。