アルハザードを読んで

アルハザード上下巻
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上巻が見当たらないのとちょっとしたプレミアものになりつつありますね。

クトゥルフ神話と言えば、呪われた書物、ネクロノミコンとその著者、アブドゥル・アルハザードが出て来ると思います。

そのアルハザードが生きていたころの戦慄の冒険譚を描いた物語です。この手の話(ダークファンタジー)が好きでクトゥルフ神話にこだわらないなら、より洗練された物語である「アラビア夜の種族」をおすすめします。あと「ゾティーク幻妖怪異譚」。滅びゆく世界の幻想譚です。余韻がすごいですね。

イメージで言うともののけ姫のアシタカを可能な限り悪意を持って邪悪に描いたらアルハザードなるのではないかと思います

クトゥルフ神話を作ったHPラブクラフトが目指したのが、見えない恐怖や、コズミックホラーというジャンルになりますが、アルハザードはクトゥルフ神話意を題材にした、それなりによくできていますが、まあよくあるダークファンタジーでしょう。

ダークファンタジーと言えばベルセルク(シールケとかが出るまで)が一番好きです。VSモズグズあたりまでは神がかっていましたね。相当重たいストーリーも好きでした

〇上巻

序盤柄容赦のない残酷描写があるのでダメな人はダメですが、クトゥルフ神話と言えば、な生物が早速出てきますので、仕方がないでしょう

どうやら生き延びることができたのは、ナイアーラトホテップに魅入られたからな様子。何かの目的のためにイ課されているという感じ

途中で善良とは言えない精霊と、妖術師の(素質のある)少女を供に、暗黒の知識を探求する旅がはじまる。俗にいう邪神を崇拝している者どもとのかかわりにおいて、情報交換というのが難しいというか、外部に漏れるくらいなら口を塞いでしまえ。なので危険な旅が続きます。

旅の途中でナイアーラトホテップの目的が達せられたのを周囲が知ると、もう恐れるものはないと主人公に牙をむくものもあらわれます。ナイアーラトホテップに見捨てられたのかと。

そして上巻衝撃のラストへ。マジで?と思いました。


〇下巻

這い寄る混沌(ナイアーラトホテップ)がまだ主人公に語り掛けて来る。一回見放していたような気がしますが、呪縛からは離れられない様子。これが本編での最後の消失に関わっているのだと思いますが

上巻でイエメンを追放され砂漠地帯~エジプトときて、もはやエジプトも安全でないとのことでバビロンの廃墟に過去の知恵を探索しに行くこととなりますが、這い寄る混沌の思惑と一致するようです

主人公がたいがいな鬼畜ですがそこはかとなくモテますね。このあたりがちょっとあり得ないんじゃないかと違和感を抱きます。妖術師の少女って主人公に裏切られて〇害されかかって・・・だったのに。

禁断の知恵を巡っての攻防が続きますが、そもそもお互い友好的ではないというか、殺伐としすぎる面があると思っていたら、人類にとって有害な勢力のかでも、這い寄る混沌は相当信用されていないというか、手段を全く選ばないので警戒されているみたいですね

毎度毎度、禁断の知恵を得たら裏切りからの逃避行でさまよう羽目になります。追手も増えるし、今回はナイアーラトホテップと同格らしいものまで・・・

あと、下巻は徒労と無駄足が多くダレますし、追手の話も説明不足感が否めません。途中で話畳めなくなって投げた感が強いです。その点アラビア夜の種族は話がさらに複雑で世代をまたぐのに綺麗にまとめたなぁと。

最終的にやっぱりナイアーラトホテップの。そら、邪悪の代表ですけどね。これももうちょっとまとめてほしかったです。ただでは済まない、象VS蟻くらいの絶望感がある話なのに、話が畳まれる前にストーリーがおわっちゃった。

本編で壮絶な最期を遂げたアルハザードは、そういう事だったんだなと。正直かなり嫌な終わり方をしそうだと思いましたが、まあ、これはこれで辻褄も会うし、それはそれかなと。その、壮絶な最期を遂げた気の毒な主人公の体はおそらく誰かと入れ替わった後なんだろうなと。追手と例の邪悪な生き物の魔の手が迫るまでは結構時間があったようです。多分、悲惨な目にあって消えたアルハザードの中身は気の毒な追手の誰かなんだろうなぁって。

そうこうして余生ちゃんと送ってそうですね