幻色江戸ごよみを読んで


時代小説、人情話+ちょっとホラー

切ないような、優しいような短編集

〇鬼子母火

江戸の酒屋の神棚で発生した小火と、焼け残ったしめ縄から出てきた髪の毛の束。かなり切ない話でした

〇紅の玉

ヒェッ。というような話です。・・・北町奉行が遠山金四郎景元(遠山の金さん)の時の南町奉行の鳥居甲斐守って、時代小説でいい人に描かれたものを読んだことがないです。大体悪い奴ですね。この話でもそうなっています

〇春夏秋燈

古道具屋の主人が話す、古い曰くつき行燈の話。ストーリーより、この主人が最後の方に行ったことが印象的ですね

〇器量のぞみ

顔の美醜に関するデリケートな話。いたたまれないような、居心地の悪いような(笑)

〇庄助の夜着

使用人の庄助が古着屋で買ってきた夜着にまつわる幽霊話ですが、庄助の作り話だったのか、本当だったのか。いずれにせよ庄助はもうこの世にはいないのではないでしょうか

〇まひごのしるべ

誰もがそれなりに事情があってかわいそうな話。元のさやに納まったがそれで結局救われたのは一組の夫婦だけ。残りの人間はやるせないな

〇だるま猫

元来臆病なら、臆病なりの生き方を探せ、無理に勇敢なふりをしても仕方がないという話。弱い自分も自分だし、弱いなら弱いなりでそれなりの生き方があるという・・・

〇小袖の手

必要以上に安い品物にはそれだけの理由があるという話。

〇首吊り御本尊

人生の三割くらいは、気の持ちよう、精神力と根性でどうにかなるんじゃないかという話

〇神無月

せつねぇ

〇侘助の花

作り話で生き別れの娘がいるといってしまった男に、本当に私が生き別れた娘ですと名乗りを上げた娘がいた。彼女の思いを知るとかなり切ない。

〇紙吹雪

母親の仇を討つために娘が選んだ方法とは。ラストは、映画ニルバーナを思い出しました

ニルヴァーナ