手持ちのクトゥルフ神話系を再読してみる1

手持ちのクトゥルフ神話系の書物は以下の通り

  • ラブクラフト全集1~7
  • ラブクラフト全集 別巻(上)
  • ラブクラフトの遺産
  • アルハザード
  • 魔道書ネクロノミコン

クトゥルフ神話

私の解釈では、人類が世界の覇権を取るずっと前に人間よりもはるかに進化した超生物達が闊歩する惑星だった地球。その中で人類は食料や家畜、労働力程度の扱いしか受けてなかった。

色々超生物や神々の歴史があって最終的に争いが起き、争いに負けた超生物や神々が地底深くに封じられてしまう。その他の神々、超生物達はいずこかに去っていった。封じられた者たちが人間に悪夢を見せたり手下をつかって復活を助けさせようとしている状況が現代。

人間の言う善悪というのは神々にはそういう概念はない。人間には手に負えない有害なものである。(悍ましい姿すぎて直視すると正気を保っていられなかったり、恐怖のあまり自害したくなったりする)復活したら人類は滅亡かろくなことにならないんだろうな、というのがわかる。こういう設定ですね。

クトゥルフ神話の生みの親である、H.P.ラブクラフトの書いた物語は「コズミックホラー」が多い。外宇宙から飛来した超生物や有害なる神々が蠢く暗黒世界が実はすぐ近くにあるという恐怖をきっちり描き切ったすごいものだと思います。深淵なる世界観がもうたまらないですね。

問題は、弟子であるオーガスト・ダーレスA級戦犯が、神々や超生物に善と悪の属性を付与してしまい、底の浅い世界観ができてしまったことと、クトゥルフ神話を扱う作家、映画監督に一流の人は残念ながら皆無であるという…

底の浅い残念SFホラーが粗製乱造されていて悲しいです。みんなショゴスの罠におちてテケリリテケリリされたらいいんですよ。

実際ク・リトルリトル神話集、クトゥルーなどのクトゥルフ神話を扱ったアンソロジー、黒の碑等を読みましたが大体失望しています。・・・テケリリテケリリされればいいんです。

それでも面白かった作家は

  • コリンウィルソン
  • 小林泰三

これくらいじゃないでしょうか。いあいあ。(*´Д`)

うがなぐるふたぐん。皆でラブクラフト全集を読んで偉大なる大クトゥルフ様に…


ラヴクラフト全集1。特に気に入ったのが

「インスマスの影」

周りからは孤立し、誰も行きたがらない町の秘密とは。町の有力者が行った禁忌と住民の異様な風貌の謎は、すべてがわかった時に主人公は自分が何者かを知る羽目になる

ラヴクラフトといえばこの話でしょう。ほかの作家が続編やサイドストーリーを結構書いたりしています。世にも奇妙な物語でも話があったはず。ケロケロ・・・ペタペタ・・・

「闇に囁くもの」

洪水が起きた川に蟹に似た化け物の死体があがった。その事件についての記事を書いた主人公が、ある奇妙な手紙を貰う。差出人はその化け物と、地方に関する伝承等に詳しく、時折発見報告がなされる化け物についての調査をしているという。その彼と文通を続けていくうちにどうやら手紙の差出人は剣呑な事態に巻き込まれていく…が、ある時、すべては解決した、真相を語りたいのでぜひこちらにいらしてほしい、と手紙が届き、事の顛末を知るために主人公が彼に会いに行く。そこで見た驚愕の真実とは。冥王星、本当の名を「ユッグゴトフ」にまつわる恐怖の物語。


ラブクラフト全集2

「エーリッヒ・ツァンの音楽」

主人公は下宿先で初老のバイオリン弾きと出会う。彼の奏でるバイオリンの今まで聞いたことのないような神秘的な旋律に心を奪われてしまう。神秘的で陰鬱な呪われた旋律を彼が奏でていたのか、ヴァイオリンに奏でさせられていたのか、はたまた別の原因があったのか。

「チャールズウォードの奇怪な事件」

ラブクラフトの三大長編のうちの1つ。とある精神病院から、「特に特徴的な兆候の見られる」患者が脱走したところから始まる。脱走した患者、チャールズウォードがなぜおかしくなったのか?瀆神的な実験を数多く行い、周囲のものに処刑された悪名高き先祖であるジョセフ・カーウィンのことを熱心に研究していたチャールズはいったい何を見つけたのか?そしてカーウィンは「本当に」この世から退治されていたのか?


ラヴクラフト全集3

「無名都市」

アラビアの砂漠に眠る太古の種族が住んでいたとされる遺跡に迷い込んだ主人公が、その死に絶えた遺跡で先住民の過酷な運命を知り、呪われた地下墓所で悲劇に見舞われる

そは永久に横たわる死者にあらねど、測り知れざる永劫のもとに死を超ゆるもの

「闇をさまようもの」

作家であり画家であるブレイクが移り住んだ町の自室から、はるか遠くに見える黒い教会。ブレイクは日に日にその教会が気になっていき、ついにはその教会を訪れる決心をする。しかし実はその教会は遠い昔邪教集団の巣窟になっており、邪教徒が呼び出した外宇宙の生物が蠢く魔窟であって、誰も近づきたがらない恐怖の場所であると聞かされる。今はその集団も去りただの廃墟になっているが、黒い噂が絶えない場所だと。ブレイクがその教会に侵入し偶然見つけだした「輝くトラぺゾヘドロン」に魅入られてしまい・・・


ラヴクラフト全集4

「ピックマンのモデル」

クトゥルフ神話系の話では相当有名な名作短編です。悪夢のような絵画を描く画家ピックマンのその冒涜的なイメージのもとは何なのか。彼のアトリエに招待された主人公が見た未発表の地獄のような絵画の数々と、彼が描く化け物のイメージの源泉。その正体を知ってしまった主人公は・・・

ちなみにこの後行方不目になったピックマンと「彼ら」が別の話にも登場するのですが、話の分かる頼れる味方として出てきます。

「狂気の山脈にて」

南極の前人未踏地域の調査隊が驚くべき発見をする。あの呪われた書物「ネクロノミコン」に記述のある、はるか古代の世界に地球に君臨した<古のもの>と思われる生物の死骸を見つけてしまったのだ。そして彼らが建設したと思われる巨大都市のレリーフから、彼らの滅亡の歴史を知ることになる。彼らに作られた悍ましき生物ショゴスのこと、彼らの反乱のこと。そしてショゴスはショゴスの穴に今でも潜み続けているという・・・交信の途絶えた前線基地と廃墟を探索に出た主人公たちは戦慄の歴史を知ることになり、廃墟の奥に潜む悍ましきショゴスと遭遇してしまう・・・

かなりの大作になっています。こういう独自の世界観と歴史が好きな人なら、ジャンルがSFになってしまいますが、筒井康隆氏の虚航船団をお勧めします。かなりクセとアクは強くなっていますが私はSF小説の中では相当なものだと思いました。



ラヴクラフト全集5

「神殿」

Uボートの乗組員である主人公が深海に沈む恐怖の都市の誘いをうけ徐々に狂気にむしばまれていく話。同僚の大尉が戦利品として敵兵の死体からくすねた大理石でできた像が徐々に潜水艦の乗組員の正気をむしばんでいく。最後は主人公も深海からの誘いの声に抗えなくなり・・・

「死体蘇生者ハーバード・ウェスト」

死者の蘇生を研究のテーマにした医学生ハーバードの驚くべき生涯の話。彼はついに実験に成功するが、完璧でなかった。完璧を求める彼が進める実験の数々により出来損ないの蘇生者の多くが極秘裏に闇に消えていった。そして闇に消えた悍ましき蘇生者の復讐の手がハーバードに迫る・・・


ラヴクラフト全集6

ランドルフ・カーターを主人公とする一連の作品がメインなのですが、超有名なところなのでパスしておきます。カーター氏はおそらく作者の分身ですね。そのカーターが恐怖に満ちた夢の世界と暗黒の世界を旅し、恐るべき知識を得る冒険譚とその前日譚のような話です。

どちらかというとホラーというより幻想譚に近い作品群が掲載されているので、その中で気に入ったものをいくつか

「白い帆船」

様々な船が出入りする港町に住む主人公が、南から来た帆船の船長に招かれて目くるめく神話のような世界を航海する話。伝説の町や忌まわしい都市への航海をしながら、人間の楽園である都市にたどり着くのだが、彼の本当の願いは別にあった。主人公の願望であった人を避けて住まう神々の都を目指して船出するが・・・

「蕃神」

大賢者バルザイが目指したのは人を避けて荒涼とした大地カダスに住まう神々が昔を懐かしんでひそかに訪れる山の頂にて神々の姿を見ることであった。彼はついに神々の姿を見ることになるのだが予想外の事態が起こり・・・


ラブクラフト全集7(本編の完結編)

ホラーというより幻想譚、神話のような話が多いです。全集6で出てくる夢の領域とされる一種の幽世での話や、先住民が昔からしていた儀式とそれを汚した呪いが時空を超えて降りかかる話が多いです。

「イラノンの探求」

吟遊詩人であるイラノンはほのかに記憶に残っている美しい都市、アイラを探して各地をさまようが、全く手掛かりが得られないまま漂泊の旅を続けている。出会いと別れ、様々な都市をみ、ついにアイラを知る者と遭遇するが、その悲しき真相とは…

「あの男」

ほぼ廃墟と化している街並みの一角に芸術家が集う場所があると聞きそこに移り住んだ主人公だったが、ただの芸術家気取りの自堕落な人間の巣窟であり、大きく失望してしまう。そんなある日、奇妙である種の違和感を感じる男が訪ねてきて、不思議な話をされる。その奇妙な男に家に招かれた主人公が見た驚愕の「窓からの風景」は異界の邪悪な風景を映し出していた。その邪悪さに悲鳴を上げた主人公と奇妙な男が突然の惨劇に見舞われる。

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