カントの人間学を読んで1


カントの人間学を読んで気になったところをまとめます

◎人間が私という言葉を使って語り始めるその日から、エゴイズムに陥らざるを得ない。しかもそれはどんなに抑圧しても「身を隠してでも前進していくもの」


エゴイストの三つのタイプ

◎論理エゴイスト

彼は判断を他人の悟性にも照らして吟味することを無用とみなす。割りと見つけやすいタイプで、自分の判断に他人を必要としない。自分が傷つかずに生きていくために他人を傷つけるほかないと残酷な洞察をした人

◎美的エゴイスト

他人から悪評され非難され嘲られようとも、自分自身の趣味(絵画や詩音楽等)だけで十分満足している人のこと。しかし趣味の感情に階級的、文化的優越を伴うことが多く、差別意識が含まれることが多い。柔軟な観照的態度を失い固い偏見にとらわれやすい

◎道徳的エゴイスト

一切の目的を自己自身の上だけに限り、己に役立つもの以外は一切の効用を認めない。自分の幸福のみを追求する利己主義者、幸福論者


◎自分に厳格な人は往々にして他人にも厳格。

◎多くの人が喜んで承認するであろうことは、他人に親切を示さなくても、すむのなら他人も自分に親切にしてもらわなくていいということ。(新設の押し売りは鬱陶しい)

◎新設や恩恵を以て相手を下に見て軽蔑することは、決してすべきことではない

◎新設や恩恵を受ける場合は、それを喜んで受けること、感謝すること。

◎およそ幸福な人に不幸な気持ちを分かることは困難であるし、その不幸を生きることとは厳然と異なる

◎道徳的価値は決して与えられたままの幸福や不幸な状態から生まれず、それらを意志の力で克服することで生じる

◎道徳的善は結局自己愛に行きつく多様な感情の傾きを徹底的に潜り抜けて達成される

◎友情に含まれる愛は熱情ではありえない。熱情は盲目的であり継続すれば冷めるものである

◎現実の友情の重みは評価できず(重くないということ)現実の友情は理念とは異なる

◎困窮しているときに味方になってくれる友人は望ましいもの。それにもかかわらず、自分の運命に繋がれており他人の要求を背負わされると感じるのはやはり大きな負担である

◎理想的な友人像は「自分を補充(補完)する者」であり最も安心できる者

◎意志の自律は「私」が自分自身に法則を与えること

◎啓蒙とは人間が自らに責めのある未熟状態から脱出すること。「他人の指導がなくとも、自分自身の悟性をあえて使用する決意と勇気」

◎いかなる人でも、生まれ、育ち、肉体、学識、卒業などに関して切実な虚栄心を抱いている

◎自惚れはすでに称賛を得ているおめでたい満足で、虚栄心は賞賛を求めようとする永遠の渇望である

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