本所深川ふしぎ草紙を読んで


江戸時代が発祥の深川七不思議をモチーフにした不思議な事件とそれを取り巻く人間模様を描いた話。事件を捜査する岡っ引きの親分、回向院の茂七の推理や人間関係の洞察などが興味深いです

七編の短編があります

生きるって大変だし悲しいんだなと、しんみりした気分になります

つらい経験やしんどいことは、経験した本人しかわからないことがあるし、そこに立ち入ることはだれにもできないのだろうな、と。一方で、恵まれている人にとってはめぐまれてるなりに(しょうもないとは思いましたが)悩んでるんだな、と。

〇印象に残った話

1.片葉の葦

困っている人に恵むのと助けるのは違うということ、相手を想ってのことか、自己満足なのか。場合によっては相手をダメにしてしまうこともある、という話です

2.落ち葉なしの椎

確かに勢吉はろくでなしだったし、しでかしたことは取り返しがつかない。でも本当に今は改心しているのだが・・・覆水盆に返らず。切ないけどこのままやっていくしかないんだろうな。それでも娘と相互理解ができた救いはあるなぁと。娘もこれで大分すっきりするのだろなと・・・

3.消えずの行灯

最後の話が相当ヘビーな話でした。桜屋の夫婦もたいがいですが、もう一つのほうが心配をするふりをして恨みの応酬をしている夫婦。見た目では本当に何を考えているかはわからないものですね。本当はこういうこと、というのを悟った時にぞっとすることもあるんだなぁ、と