料理やとして独立した夫婦の娘が店開きの前に、熱病で死の淵をさまよいます。その時の夢に出てきた人(話の伏線になっています)に、あんたは死なないと言われてそうこうしているうちに息を吹き返すが、それからというもの、幽霊を見てしまう体質になります
どうやら店にも先住者が五人ほどいた様子。会話はできるし相談にも乗ってくれるし、悪いものから守ってくれる、どうやら気に入られた様子なのですが、二人は自分の生前について何か知っているようですが、残りの三人は記憶が全くなく何が未練で成仏できないかすらわからないといいます。その五人の因縁を中心に幽霊騒動が巻き起こったり変な事件に巻き込まれたり。
あかんべえ(上)
料理屋の初仕事で幽霊騒ぎが起き、悪い噂が立った主人公一家の料理屋で自称霊能者の女性の霊能対決という趣向で食事会が行われますが、どうやら二人とも幽霊が一切見えていない様子。料理が悪かったから失敗したと難癖をつけられ乱闘騒ぎになるが、その裏で剣呑な幽霊が誰かに取りついていた・・・
怖くはないです。過去に何か因縁のある土地であるというのと、主人公に霊能力が付いたのは偶然ではないということがわかります。そして記憶のない幽霊の因縁もかかわってきそうですね
あかんべえ(下)
のほほんとした話かと思ったら、周囲の人の心に潜むどす黒い闇がどんどん明らかになってくるという。主人公がかわいそうになってきます。まあ心の闇があってこそ人間として奥深くはなるのだと思いますが、主人公が幼いのと出生に秘密があるのと、重いと言えば重いですね
でも全部解決させてしまうのはさすがですね。宮部みゆきさんの時代小説は救いがあるので読んだ後の心地がすごくいいのです。緻密な人間関係にそれについてくる「しこり」も解決してくれるので。